綿貫 英彦[日本共産党福岡市議会議員]

綿貫 英彦[日本共産党福岡市議会議員]

12月議会

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12月議会

12月議会反対討論

12月議会, 議会報告

私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております議案第179号ないし188号、190号、191号、193号、197号、200号ないし203号、205号ないし208号、211号に反対し、討論を行います。

まず、議案第205号「中央区、南区及び城南区内設置の市営住宅に係る指定管理者の指定について」です。

今回、指定管理者に選定された東急コミュニティーは、社員や退職者による不正な個人情報漏洩・流出やマンション管理費の着服などの事件を相次いで起こしている会社です。わが党は議案質疑のなかでこのことを質しましたが、市は問題ないという態度に終始しました。また、委員会審議のなかで、福岡市営住宅に係る指定管理者選定・評価委員会において、この会社の不祥事についての情報提供が無いまま審議が行われたことも明らかになりました。このような次々と不正が続いている会社に市営住宅の管理を任せるわけにはいきません。市は、この会社が市内で不祥事を起こしていないかについて調査をしたようですが、そもそもそのような調査をする必要がある会社を指定管理者に選定すること自体が間違っています。それでもこの会社に固執するというのであれば、まさに特定企業との癒着だとの批判を免れません。わが党が議案質疑で提案したように、管理代行制度を活用して、行政との連携や福祉的配慮、仕様書にない業務に対しても柔軟に対応可能な、福岡市住宅供給公社が市営住宅を管理すべきであり、わが党は本議案に賛成することはできません。

次に、議案第179号「令和4年度福岡市一般会計補正予算案(第5号)」についてです。

本議案は、物価高騰経済対策や新型コロナウイルス感染症対応、給与費等などの予算補正を盛り込んでいます。

物価高騰経済対策事業および新型コロナウイルス感染症対応として計上されている事業の大半は一刻も早く市民に届けるべきであるというのがわが党の立場でありますが、他方でそれ以外の部分には市民の立場から看過できない問題点が含まれております。

ここではその2つの問題点について述べます。

第一は、職員の給与費に関わる補正についてです。

今回の補正は、市人事委員会の勧告にもとづき、2022年の基本給を平均で436円、0.11%の引上げをおこない、今年の冬のボーナスについては0.1か月分の引上げを行うものとなっています。基本給、ボーナスともに3年ぶりの引上げとなりますが、20年前と比較すると年間平均給与が100万円ちかくも引き下げられてきたことを考えれば、今回の引上げは「雀の涙」ともいうべき増額に過ぎません。また、物価高騰と異常円安で市民生活が悪化しているなか、今こそ賃上げを軸に実体経済を立て直す必要がありますが、今回のような若干の引上げでは全く間尺にあいません。さらには、約3年にわたる新型コロナウイルス感染症の対応や豪雨災害への対応など、必死に頑張ってきた職員の願いに応えるものにはなっておらず、職員のモチベーション低下にもつながりかねません。わが党は一般質問で会計年度任用職員の抜本的な賃金水準の引上げを提案しました。いま求められているのは非正規を含む市職員給与の大幅賃上げを市が率先して行うことです。よって、このような補正をわが党は認めることはできません。

第二は、新型コロナウイルスワクチン接種に関わる補正についてです。

これは、ワクチン接種の実施として、約49億円を増額補正するものですが、そのうち委託料が約46億円となっており、日本トータルテレマーケティング株式会社に、集団接種会場の運営として約10億円、コールセンターの運営として約5億円で業務委託することになっています。市はこの企業に、これまでもコロナのワクチン接種に係る業務や給付金に係る業務などを委託していますが、コールセンターのパンクを引き起こしたり、不備のある申請書類を送付したりするなど、市民に多大な迷惑をかけてきた企業です。また、東京五輪・パラリンピックのテスト大会をめぐって談合を行った疑いのある博報堂の子会社でもあります。さらには、今回コールセンターのオペレーターの時給は1850円で設定されていますが、実際には時給1300円程度でアルバイトなどを募集しており、労働者の賃金として支払われている税金から不当なピンハネをして莫大な利益をあげている企業でもあります。このような企業にワクチン接種という市民の命に直結する非常に重要な業務を再び委託することは異常です。委託企業のもうけを優先し、市民の命と暮らしを守るという市の本来の仕事をないがしろにしていると言われても仕方がありません。委託というやり方を改め、市が直接事業を行うべきであり、このような補正には賛成することはできません。

以上の理由から、わが党は本議案に反対するものであります。

次に、補正予算案に含まれているもののうち、わが党が賛成をする事業についても意見を述べておきます。

一つ目は、介護・障がい者施設等への光熱費・食費支援事業についてです。長く続く新型コロナウイルス感染症の対応に加え、凄まじい物価高騰によって、市内の介護施設や障害者施設は大きな打撃を受けており、深刻な状況が続いています。今回の補正では、光熱費と食費について価格高騰相当分を助成するとしていますが、物価高騰の影響をカバーできるものに全くなっておらず、きわめて不十分であることがわが党の議案質疑で明らかになりました。市独自に金額の上乗せを行い、継続的なものに改めるべきです。

二つ目は急患診療センターの体制強化についてです。新型コロナ第7波のピーク時には、市内で唯一、感染が疑われる患者を夜間・休日に受け入れる外来を持つ急患診療センターに患者が殺到し、雨が降りしきる中、病棟の外まで伸びた行列に長時間並ばされるような事態が引き起こされるなど、大問題になりました。第8波への対応について、市はオンライン診療を活用するから問題ないとしていますが、オンライン診療は実際にどれだけ利用が広がるかは未知数であり、解決策にはなりません。地域の発熱外来が足りないなか、第8波の危機に対応するために、急患診療センターの抜本的な体制強化を図り、サテライトなど個所数を増やすとともに、現在一時休診となっている博多区・城南区・西区の急患診療所を再開させるべきです。あわせて、県や医師会とも協議して大規模な発熱外来を早急につくるべきだということを求めておきます。

以上でわが党の反対討論を終わります。