綿貫 英彦[日本共産党福岡市議会議員]

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5月議会賛成討論

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私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております議案第134号、135号いずれにも賛成し、討論を行います。

議案第134号、2021年度福岡市一般会計補正予算案(第2号)についてです。

本議案は、新型コロナウイルス感染症 緊急事態宣言の発令を受け、追加支援策として休業要請に協力する店舗等への家賃支援、および地域の飲食店におけるテイクアウト支援を行うため、約24億円を増額補正するものです。

これらの施策は、コロナ禍で苦境にあえぐ本市の中小業者に一刻も早く届けるべきであるというのがわが党の立場であり、本議案に賛成いたします。

同時に、審議で明らかになった、いくつかの不十分な点について述べておきます。

第一に、家賃支援の金額が小さく、対象業種などが狭すぎます。

議案質疑でわが党は月90万円の家賃を払っているライブハウスのケースについて取り上げ、上限が50万円では到底足りないとただしましたが、市は「飲食店の9割をカバーしている」と述べるだけで、制度の外に取り残された1割もの業者に対して実に冷たい態度を示されました。

時短要請に応じた店については対象にしていないことも問題です。議案質疑で取り上げたように、どうしても断れない大事なお客さんの、前からの予約に応えてノンアルコール提供で1日だけ店を開け、残りのすべての期間、休業した場合でも、市の制度では対象外になってしまいます。感染防止に協力しているにもかかわらず、あまりに杓子定規な対応だと言わなければなりません。救済ではなく、振り落とすことが目的なのかと疑いたくなります。

また、市は飲食店が「非常に厳しい状況にある」ことを家賃支援の根拠としてあげておりますが、他の業種について、市は「影響はある」と言うだけで、「非常に厳しい状況にある」ことを認めようとしませんでした。わが党は、審議の中でイベント業者、劇団などのケースを具体的に紹介しましたが、市長は、これらの業者が「非常に厳しい状況にはない」とお思いなのでしょうか。市長、現実をしっかり見てください。「このままではお店だけでなく、社会がこわれてしまう」という中小業者の声を質疑の中でわが党が示した通り、地域経済を維持するためには、支援の拡充は「待ったなし」です。

中小業者と地域経済を救うために、全国知事会が二度目の持続化給付金の支給を国に求めているのは、こうした事情の反映であります。

審議での答弁でも明らかになったように、市長はイベントで外から人を呼び込むことをコロナ禍で「経済を回す」ことだと勘違いされているようですが、全くの間違いです。地元の中小業者を支え、地域経済を維持することこそ、感染防止と両立させるべき経済政策です。

したがって、持続化給付金の再度の支給を国に要求することとあわせ、本市独自に家賃支援の金額および対象業種などを思い切って広げ、家賃支援以外の支援についてもさらに拡充することを要望しておきます。

第二に、家賃支援をはじめとする各種の支援金の支給があまりに遅すぎます。

テイクアウト支援は5月下旬、家賃支援や売上が減少した事業者への支援は6月下旬にようやく支給が始まります。わが党は審議の中で「遅すぎるのではないか」とただしましたが、市は煩雑な書類を市民にそろえさせることを「当たり前だ」と思っているのか、答弁では「可能な限り速やかに」と一般的に述べるのみで、問題意識のカケラすらうかがえませんでした。

アメリカで働いた経験があって現在日本に住んでいる高齢者のところに、今アメリカ政府が発行したコロナの経済対策の給付金、15万円相当の小切手が次々と届いていると報道されています。手続きを厳しくすれば、給付まで時間がかかり、受け取るべき人が受け取れなくなるかもしれないとして、生活に困る人への「スピード支給」を優先する米国政権の姿勢が実に鮮明に現れたものに他なりません。「誤って送ったならその人たちには返金させればいい」との立場なのです。まさに政治の姿勢が違います。困窮しているところにまず現金を渡し、後で収入が減った証明があれば、返済不要の給付にかえるという、苦境にあえぐ中小業者の手元にただちに届く方式に切り替えるよう、強く求めておきます。

コロナの感染拡大を抑え込むためには、補正予算として本議案の中に本来含めておくべき手立てもいくつかありました。

第一に、ワクチンの迅速かつ安全な提供です。

医療従事者へのワクチン接種も終わらず、それが停滞している原因について委員会でただしましたが、まともな解明はありませんでした。

また、市長は「7月末に高齢者の接種完了」と表明しましたが、地元の医療機関から2回目の接種は9月だと通告された高齢者がいることが私たちの調査で分かっています。委員会で、保健福祉局からの報告について、わが党が質問しても、市は7月に完了させるロードマップも、エビデンスも示すことができませんでした。「7月末完了」というのは、この間の報道でも明らかになったように、菅政権からのゴリ押しに合わせて市長が切った「願望のスケジュール」でしかなかったのであります。

どこが停滞していて、どう打開すればいいのか、そのためのベースとなる市民への正確な情報公開が、髙島市長には決定的に欠けています。これはワクチンの迅速かつ安全な提供の上で重大な桎梏(しっこく)となるものであり、直ちに改めるよう厳しく求めておきます。

第二に、検査の抜本的な拡充です。

医療・高齢者施設などについて、わが党はこれまで繰り返し、入所者を含め週1回程度に検査を増やすよう専門家の意見に基づいて提案してきました。このたび、市はようやくここに踏み切ることになり、一歩前進であると評価いたします。

しかし、これは緊急事態宣言の期間中に限られる上に、PCR検査よりも20分の1しか精度のない抗原検査になっています。県が高齢者施設に週1回無料のPCR検査を行うと決めたことと比べても問題があります。

さらに、大規模な高齢者施設以外は、事業者からの申し出によって行うとしていることも懸念されます。この間、事業者によっては「もし感染者が出たら事業が止まって経営が成り立たなくなる」との不安から検査に踏み切れないでいます。こうした事業所が安心して検査を申請できるよう、行政として減収補填を含め事業所に対する支援をしっかり行い、制度が活用されて検査がきちんと行われるよう要望しておきます。

また、学校や保育園、学童保育などに感染が広がっています。山口県では5月中旬から県内のすべての高校の生徒・教職員にPCR検査を行うことを決めたとされていますが、無症状者が無自覚に広げてしまうというこの感染症の特徴から考えて、わが党が繰り返し提案しているように、子どもの施設に対しても無料の検査を行うことも要求しておきます。

第三に、事業者への十分な補償です。

先ほど述べた中小業者に加え、すべての医療機関への減収補填を国に求めるとともに、市独自の支援に踏み出すよう求めておきます。

また、感染対策に逆行する東京オリンピック・パラリンピックについては中止するしかありません。中止を求める声は、国民の7割、8割にも達しており、こうした状況下で開催することはもはや不可能です。市長としてただちに中止を国に進言すべきであります。

3点にわたって述べてまいりましたが、市の既決予算や国の予算の範囲だけの対応にとどめていては、ワクチンも、検査も、補償も、最低限求められる水準にさえ届きません。現在は市民の命と健康が目の前で危機にさらされている、いわば有事であり、必要な対策について市からの財政出動を躊躇(ちゅうちょ)なく行って、新たな補正予算を迅速に組まれるよう、強く要望しておきます。

以上でわが党の賛成討論を終わります。