綿貫 英彦[日本共産党福岡市議会議員]

綿貫 英彦[日本共産党福岡市議会議員]

6月議会

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6月議会

6月議会反対討論

6月議会, 議会報告

私は日本共産党市議団を代表して本議会に提案されております諸議案のうち、議案第139号、140号、143号ないし154号、157号に反対し、討論を行います。

まず、議案第139号「福岡市情報通信技術を活用した行政の推進に関する条例案」についてです。

本議案は、行政手続き等にかかる関係者の利便性の向上ならびに行政運営の簡素化および効率化をはかる目的で、情報通信技術を利用する方法により手続き等を行うために必要な事項を定めるとしているものです。

わが党は議案質疑等において、第一に、デジタル化による「行政運営の簡素化」を口実として、窓口での相談業務などが廃止・縮小される恐れがあるのではないか、第二に、紙による手続きなどが後退し、デジタルを利用できない人が取り残されるのではないか、第三に、デジタルデバイド対策はどうなっているのか、などの点をただしました。

これに対して総務企画局長は、「オンライン化で相談業務に人を配置できる」「書面による手続きも引き続き行える」「スマホの活用講座などを開催している」などと答弁しました。

しかし、他の自治体では窓口業務の縮小・廃止が実際に起きております。東京都の北区は、マイナンバー制度の導入による各種証明書のコンビニ交付サービスの開始を理由に、2018年に7つの区民事務所分室の全廃を行いました。戸籍など十万件を扱う分室の廃止は、区民サービスの重大な後退ということで批判が寄せられております。練馬区でも同様に出張所が廃止され、続いて、いろいろな手続の文書の自動交付機も廃止されました。

「他のサービスを厚くするから」という口実で、市民の反対を押し切って既存の事業を廃止するやり方は、髙島市長が市立幼稚園の全廃などで見せてきたところであり、福岡市民が不安を覚えるのは当然であります。

書面での手続きについても、国の規制改革会議は昨年6月に「全ての行政手続がオンライン化されるために必要な取組を速やかに実施する」「一部に書面・対面の仕組みを残す必要がある場合も、これを例外と位置付ける」とする方針が打ち出され、その翌月にこれを参考にした取組を促す国の通知が指定都市に出されています。

また、ごく限られた対象を相手にしての講座など、本市のデジタルデバイド対策も貧弱なメニューしかないことが質疑で明らかになりました。

これらの点から考えて、わが党は書面手続きの存続を条例案に明記するなどの明確な担保を求めましたが、市長は応じませんでした。

したがって、市民サービスの後退が起きて、取り残される市民が生じかねない本条例案には賛成することはできません。

次に、議案第152号「福岡市地区計画及び集落地区計画の区域内における建築物の制限に関する条例の一部を改正する条例案」についてです。

本議案は、「天神ビッグバン」にかかわる地域の地区計画での規制を条例化するものです。

「天神ビッグバン」について市長は新著で「コロナ禍に襲われたからこそ『感染症対応シティ』というコンセプトを打ち出すことができ、『街の多くのビルが感染症に強い』という新たな街のセールスポイントを創造することができました」として、すでに何か実績を作ったかのような自慢話をしておられます。

しかし、3日付の西日本新聞は福岡市のオフィス平均賃料が2025年には2020年比で10%ほど下落し、空室率が6%に迫るという民間大手不動産サービス会社の予測を紹介しました。いわば、「ビッグバン」でオフィスを大量につくるものの、言うほど企業は呼び込まれず、オフィスがダブついていくという見方です。

同様に、やはりオフィス仲介大手の福岡支店長が雑誌「福岡経済」に寄せたコメントによれば、「潜在的空室率」、すなわち即入居可能な物件だけでなく、テナントの退去前でも募集が公開されていれば「空室」とみなす空室率がありますが、その「潜在的空室率」で言えば昨年4月に2.94%だったものが今年4月に2倍の5.82%まで上昇し、「市況悪化の分岐点といわれる5%を超えた状況となっている」「問い合わせの6割がフロア縮小や退店といったマイナスの内容が増え」ている、と厳しい見方を述べています。

市長は根拠のない自慢話にうつつをぬかすのではなく、まず足元を見るべきです。

わが党は、破綻した呼び込み政策を進める本議案に賛成することはできません。

あわせて、今回わが党が賛成する議案第138号「令和3年度福岡市一般会計補正予算案(第3号)」にかかわって、いくつかの点について述べておきます。

まず、全市版プレミアム付電子商品券事業についてです。

この事業は、緊急事態宣言の延長に対応し、福岡商工会議所などが行うプレミアム付電子商品券事業を市として支援するものです。

わが党は議案質疑などで、デジタルに対応できない中小業者や市民を排除することになるのではないか、また、募集期間も短く知らない事業者や市民も少なくないのではないか、などの問題をただしましたが、市は紙での対応もせず、募集期間も十分に取らないという冷たい答弁しかしませんでした。

そもそも従来の市・県・国の支援策だけでは中小業者の苦境は救済されず、市内に8万近い中小企業がある中で今回の商品券は5000店舗しか対象にしておりません。わが党は、酒屋・肉屋・魚屋などの卸売業者をはじめ洋品店、イベント業、映画会社などの実態を紹介し、幅広く支援できるメニューが必要だと指摘して、持続化給付金の再支給や消費税減税の国への要請、幅広く使える福岡市独自の持続化給付金の創設を求めましたが、市長は従来の支援で問題ないという態度に終始しました。

これではあまりに不十分であり、早急にさらなる支援策をとるよう重ねて要求しておきます。

次に、生活困窮者自立支援金についてです。

この事業は、生活福祉資金の特例貸付が上限に達しているなどの世帯に対し、一定の要件を設けて最大30万円を支給するものです。

しかし、特例貸付が上限に達しているということは、目いっぱい借金をしているということであり、借金をしなければ支援金を渡さないというのは、あまりにもむごい制度設計だと言わねばなりません。これに加え、住民税非課税レベルの収入以下という厳しい収入要件、さらに、単身世帯で貯金が70万円あれば対象外、求職活動や保護申請をしているなど、幾重にも厳しいハードルを超えないと受給にこぎつけません。

わが党は「借金をしないと受けられない制度は問題ではないか」「さまざまな要件を設けてしまえば対象にならない人がたくさん生み出されるのではないか」と追及しましたが、市長は制度を見直し、市として独自の充実策をとろうとする姿勢を全く示しませんでした。

支援金の受給要件を緩和した制度を市として独自につくり、生活困窮世帯が広く救済されるようにするとともに、生理用品を公共施設に無償で常設することや学生支援特別給付金を再支給するなど、市としてすぐにでも取れる困窮対策をきめ細かく広げることを、改めて求めておきます。

以上でわが党の討論を終わります。